世界の国旗のデザイン

デザインから学ぶ、世界のいろいろ

国旗のアイコン

世界中の国旗に登場する、特別なシンボル

国旗は、国を表す究極のビジュアルアイデンティティーです。そのデザインは、シンプルな色・形の組み合わせから作られていて、一見、企業やお店のロゴデザインと似ています。でも、国旗のデザインには「旗」特有のおもしろさがあります。

国旗を調べはじめると、次から次へと気になることがでてきます。そして必ず、その国の歴史に辿り着きます。普段から何気なく見ている国旗でしたが、表に見えているデザインの奥には、歴史や宗教、文化をまたぐ壮大な世界が広がっていました。

国旗・紋章などのシンボルを体系的に学ぶことは「旗章学」と呼ばれています。このブログでは、国旗のパターンや法則・デザインにまつわる逸話や背景などを、デザイナーの視点からまとめ、少しずつ紹介します。


まずは改めて、日本の国旗を見てみましょう。

日章旗/太陽のしるしの旗 赤=博愛・活力 白=神聖・純粋 JAPAN 日本/日本神話には、太陽の女神天照大神が登場する。飛鳥時代、聖徳太子が隋の皇帝へ「日出る処の天子…」で始まる国書を送ったエピソードなど、太陽にまつわる話は歴史や物語の中で繰り返し記述され語られてきた。

通称「日の丸」と呼ばれる、太陽を描いた旗。

古来から太陽は日本の宗教や神話の中で重要な存在でした。日本の天皇は、神道で祀られる天照大神の子孫とされています。その他にも、昔から紅白がおめでたい色とされていたので赤と白の配色になったなど、由来については諸説語られています。

一方、世界の国旗には、ひと目でわかる信仰のシンボがよく使われています。

キリスト教のシンボル

DENMARK デンマーク/NORWAY ノルウェー/SWEDEN スウェーデン/FINLAND フィンランド/ICELAND アイスランド/SWITZERLAND スイス/GREECE ギリシャ/GEORGIA ジョージア/AUSTRALIA オーストラリア/TUVALU ツバル/TONGA トンガ/DOMINICA ドミニカ

国旗に十字架のシンボルが使われているのは、キリスト教の国(キリスト教徒が多い国)です。全てのキリスト教の国が十字を取り入れているわけではありませんが、十字の入った国旗を見たら、その国はキリスト教を信仰している人が多い。と見て、まず問題ありません。

この、キリスト教の十字架を組み合わせて作られた有名な国旗がこちら。

UNITED KINGDOM 英国/「ユニオン・ジャック」として有名なイギリスの国旗は、3つの国旗の十字を組み合わせて作られた。※英国は4つの国からできたが、ウェールズの国旗は使われていない。ENGLAND イングランド(聖ジョージ・クロス)SCOTLAND スコットランド(聖アンドリューのX型十字)IRELAND アイルランド(聖パトリックのX型十字)

このユニオン・ジャック。よく見ると、左右対称ではありません。国を統合する際、スコットランドとアイルランドの扱いを平等にするというデザイン上の意図により、このように斜線がずらされたデザインになりました。

イスラム教のシンボル

三日月(と星)はイスラム教のシンボルです。

キリスト教の十字架と同じように、三日月の入った国旗を見たら、そこはイスラム教のさかんな国。だとわかります。

PAKISTAN パキスタン/TURKEY トルコ/NEPAL ネパール/MALAYSIA マレーシア/ALGERIA アルジェリア/MAURITANIA モーリタニア/TURKMENISTAN トルクメニスタン/SINGAPORE シンガポール/UZBEKISTAN ウズベキスタン/IRAN イラン/AZERBAIJAN アゼルバイジャン/COMOROS コモ

イランはめずらしい三日月の使い方をしていて、ひと目では三日月とわからないかもしれません。4つの新月と1本の剣を組み合わせた国章で、星は使われていませんが、帯の境界には、イスラム教における「神は偉大なり」というアラビア語の成句が、図案化され記されています。

仏教のシンボル

インドの国旗の中央にあるのが、仏教のシンボル「法輪」です。インドの国旗は3つの宗教の組み合わせから作られました。インドは世界最大のヒンドゥー教大国ですが、仏教やイスラム教を信仰している人もたくさん住んでいて、宗教間の平和や和解をあらわした国旗が望まれました。

INDIA インド/独立運動のリーダーであるマハトマ・ガンディーは、インドの全ての社会を含む新しい国旗を望んだ。中央には、車輪の形をした仏教のシンボル「法輪」が描かれた。 24本の軸から成り、仏陀の教えが表されている。サフラン色=ヒンドゥー教 白=平和(+仏教の法輪)緑=イスラム教 紀元前250年ごろに作られた彫刻『アショーカの獅子柱頭』の足元にはこの法輪がある。

※「法輪(チャクラ)」は、仏教のシンボルであると同時に、インドの国の紋章にもなっています。

 

このように、世界の国旗には信仰のシンボルがたくさん使われています。

十字や月・星のモチーフは、絵を描くときにもデザインをするときにも、汎用性の高い普遍的なシンボルですが、それぞれの宗教を信仰している人々にとっては、それ以上に特別な意味を持つ印。国旗もとても大切にされています。

国旗のデザインの中でも、その国に住む人々のことを教えてくれる、いちばんわかりやすい目印になります。世界の国旗を見るときには、是非この信仰のシンボルに注目してみてください。

 

 

Created by
chikage egawa

デザイナー / 国旗のデザインの研究記録として。2020年の東京オリンピックに向けて、世界の国旗の読み解き方やおもしろさを、デザインの視点から紹介します。